今シーズンは苦戦を強いられているチェルシー。かつての栄光を背負い、多くのタイトルを獲得してきたこのロンドンのクラブは、ここ数年、成績が低迷している状況です。
今日この記事では、チームがどのようにして現状を打破し、再びトップを目指すことができるのかを考察します。新しい監督の下での戦術の変更、若手選手の台頭、戦略的な補強は、チェルシーの再興をもたらす鍵となるか。チェルシーが直面する課題と、それを乗り越えるための具体的な方法について探っていきます。チェルシーが再びリーグの頂点に立つ日は来るのでしょうか。
チェルシーってどんなチーム?
クラブプロフィール
創設年 | 1905年 |
愛称 | The Blues(青) |
クラブカラー | 青 |
所属リーグ | プレミアリーグ |
ホームタウン | ロンドン |
ホームスタジアム | スタンフォード・ブリッジ |
収容人数 | 40,853席 |
運営法人 | BlueCo |
代表者 | トッド・ベーリー |
監督 | マウリシオ・ポチェッティーノ |
クラブの歴史
- 1905年: チェルシーFCが創設され、スタンフォード・ブリッジを本拠地とする。
- 1915年: 初のFAカップ決勝進出。
- 1954-55シーズン: テッド・ドレイク監督の下で初のリーグ優勝。
- 1960-70年代: FAカップとUEFAカップウィナーズカップで優勝。
- 1982年: 破産の危機からケン・ベイツによって救済される。
- 1990年代: グレン・ホドル監督の下で国際化が進み、多国籍軍団として知られるようになる。
- 2003年: ロマン・アブラモヴィッチがオーナーに就任し、強豪クラブへと変貌。
- 2011-12シーズン: UEFAチャンピオンズリーグで初優勝。
- 2021年: 9年ぶりにチャンピオンズリーグで2度目の優勝を果たす。
チェルシーの最近の状況
過去10年間の成績
シーズン | リーグ順位 | CL | FAカップ | リーグカップ |
2013-14 | 3位 | ベスト4 | ベスト16 | ベスト8 |
2014-15 | 1位 | ベスト16 | 4回戦 | 優勝 |
2015-16 | 10位 | ベスト16 | ベスト8 | ベスト16 |
2016-17 | 1位 | ー | 決勝 | 4回戦 |
2017-18 | 5位 | ベスト16 | 優勝 | ベスト4 |
2018-19 | 3位 | ー | 5回戦 | 決勝 |
2019-20 | 4位 | ベスト16 | 決勝 | 4回戦 |
2020-21 | 4位 | 優勝 | 決勝 | 4回戦 |
2021-22 | 3位 | ベスト8 | 決勝 | 決勝 |
2022-23 | 12位 | ベスト8 | 3回戦 | 3回戦 |
2023-24 | 11位 | ー | ベスト8 | 決勝 |
※(ー:ハイフン)は、不参加。(決勝)は、準優勝。
この表を見ると、カップ戦などではそれなりの結果(決勝進出)を残しているとも取れますが、リーグ戦では2016-17シーズンから優勝はなし。ここ数年は、優勝どころか10位以下という結果になっています。プレミアリーグのビッグ6に名を連ねながらも、なかなかタイトルに手が届かないといった状況ですね。
チェルシーが弱い理由
それでは、チェルシーが弱いと言われる理由について詳しく解説していきます。
大型補強の効果不足
2023年冬の移籍市場で約520億円を投じたにも関わらず、チームの得点力は改善されていません。新加入選手がチームに溶け込むには時間が必要であり、即効性を期待するのは非現実的かもしれません。
戦術やシステムの変化
チェルシーは、攻撃的かつダイナミックなサッカーを志向して戦術を変更しましたが、これが選手たちにとって大きな課題となっています。特に守備面での不安定さが目立ち、新しいシステムへの適応に苦労している様子が見受けられます。まさに「産みの苦しみ」の真っ只中という感じでしょうか。
監督やオーナーの交代
チェルシーFCの最近の不振は、監督とオーナーの交代が大きく影響しています。新オーナーのトッド・ベーリー氏は、クラブの長期的な成功を目指していますが、その過程で監督のトーマス・トゥヘル氏を解任。この決定は、チームの戦術や選手の士気に影響を与え、短期的な成績低下を招いています。
新監督ポチェッティーノは、チーム再建のための時間とサポートを必要としており、その間の成績不振は避けられないものと考えられます。チェルシーが再び強さを取り戻すためには、経営陣、監督、選手が一致団結し、新しいビジョンに沿って長期的なプランで前進することが不可欠です。
チェルシーの強みと弱み
イングランドのサッカー界において、チェルシーは独自の強みと弱みを持つクラブです。チェルシーの強みは、その強力なグローバルブランド、優れたマーケティング戦略、そして高品質な商品展開にあります。スタンフォード・ブリッジのスタジアムは約42,000人の収容能力を持ち、クラブの歴史と伝統でファンを引きつけています。
また、育成プログラムは非常に優秀とされており、チェルシーのアカデミー出身の選手は、2021-22シーズンにプレミアリーグクラブで最も多くの出場を記録し、12のプレミアリーグクラブで27人の選手が出場しました。将来のスター選手を生み出す土壌は国内屈指かもしれません。
一方で弱みとしては、
財政的な課題
チェルシーは、新しいオーナーの下で大規模な投資を行っていますが、これには財政的なリスクが伴います。高額な移籍金と給与はクラブの財政バランスに影響を与え、持続可能な運営に課題をもたらす可能性があります。
戦略的な一貫性の欠如
クラブの戦略には一貫性が欠けているとの指摘があります。特に、長期的なビジョンと短期的な成果の間でのバランスが取れていないことが、チームのパフォーマンスに影響を及ぼしていると考えられます。
若手選手の育成と統合
若手選手の獲得に力を入れているものの、これらの選手を一流のチームプレーヤーに育て上げ、チームに統合することは容易ではありません。特に、即戦力となる選手とのバランスを取りながら、若手選手を適切に育成し、チームに溶け込ませることは大きな課題です。
チェルシーが強くなる為にはどうすればいいのか?改善策は?
選手の入れ替え
チェルシーはスカッドのサイズが大きくなりすぎており、選手の入れ替えが必要です。明らかに多すぎる、現在の過剰な選手層はチームの結束力を低下させ、選手個々のモチベーションにも影響を与えている可能性があります。適切な選手の売却やレンタルを通じて、よりコンパクトで管理しやすいスカッドに再構築することが最優先事項かもしれません。
チェルシーが手放した選手が移籍先のチームで多大な活躍をしていて、チェルシー時代のパフォーマンスは何だったのかとの声が挙がるケースもあります。現在のチェルシーにとって必要な選手、今後に期待できる選手の見極めも同時に行っていく必要がありますね。
戦術の見直し
特にこの点に関してフォーカスしていきましょう。今シーズンのチェルシーはビルドアップで大苦戦を強いられています、システムは4−2−3−1で最終ラインの4枚+セントラル2枚で可変せずにビルドアップしようとして、サイドに誘導されてそこでハメられるといった低い位置で繋げない状況に陥る場面が見受けられます。また前線の選手が落ちてもらいにきたり、SBがCBの脇に入ってきたりもしますが再現性は低いです。この部分を改善しないと上位進出は厳しいと言わざるを得ません。
可変してトップ下やSHがビルドアップに参加することで逆にサイドで起点を作れるのではないかと個人的には思うのですが・・・。いずれにしてもライン間で受けることが上手いパーマーやギャラガーといった選手をうまく使いたいところではないでしょうか。先述のスカッド再構築と同時に実行していくことが重要だと思われます。
体制の見直しと構築
クラブの組織構造を見直し、より効率的で効果的な体制を構築することも重要です。適切なリーダーシップと組織的なアプローチを通じて、チームの長期的な成功に向けた基盤を築く必要があります。これには、選手、スタッフ、経営陣が一丸となった運営に取り組むことが不可欠です。今後はピッチとオフィスの綿密なコミュニケーションが必要になってくると思われます。
現在のチェルシーの評価と今後について
現在のチェルシーFCに関する評価は、大規模な投資と長期契約に基づく移籍市場へのアプローチが注目されています。新オーナーは500万ポンド以上を16人の新規選手獲得に投じており、この戦略が長期的な成功につながるかどうかが焦点となっています。チェルシーは財政的公正性(FFP)規則に適合するために、移籍費用を長期契約で償却するという会計手法を利用しています。
フォーブスによると、チェルシーは3.1億ポンド(約3.1億ドル)の価値があり、2023年5月の時点でプレミアリーグで8位にランクされています。新オーナーの買収後、政府の制裁から脱出し、スタジアムの収容能力やブランド価値を高めることに成功しています。商品はあまり売れていないが、株式価格は上昇している、そんなイメージかもしれません。
今後の見通しについては、チェルシーが新しい戦略をどのように実行し、チームが勝利を収めるために必要な改善をどのように達成するかが鍵となります。チームがチャンピオンズリーグへの出場権を獲得できるかどうかも、今後の経済的な見通しに影響を与える重要な要素です。チェルシーが戦術的な明確さを確立し、スカッドのバランスを取りながら、新しい体制の下で安定した成績を出すことができれば、将来的には再びトップクラブとしての地位を確立する可能性があります。
まとめ
チェルシーの現状は、かつての輝きを取り戻すための転換点にあります。新しいオーナーと大規模な投資により、クラブは再興の可能性を秘めています。しかし、スカッドの膨張、戦術の不明瞭さ、そして組織的な変動は、チームのパフォーマンスに影響を与えています。
勝利への道を取り戻すためには、選手の入れ替えを通じてスカッドを最適化し、戦術の明確化を図り、組織体制を見直す必要があります。アカデミーからの才能の活用、メンタルサポートの強化、そしてファンとのコミュニケーションを改善することも、チェルシーの再興には欠かせません。長期的なビジョンと戦略的な計画に基づいた取り組みが、チェルシーが再びトップクラブとしての地位を確立するための鍵となるでしょう。
この過程は時間を要しますが、適切な改革と忍耐があれば、チェルシーは再び成功への道を歩むことができるはずだと信じています。
では、また。