『最近のガンバ大阪ってあんまり面白くないよな。』

ここ数年、私の周りでよく耳にするワードである。

確かにここ数年、私自身も観戦していてツラくなる時が多い。「つまらないガンバ大阪」は私の周囲だけなのか。そして「つまらない」とすればその原因はどこにあるのか。

ちょっと違った視点から色々と考えていきたいと思う。

ガンバ大阪はどんなチームなのか?

jleague.jpより引用

そもそもガンバ大阪とはどんなチームなのか?改めておさらいしていきます。

チームプロフィール

チーム名ガンバ大阪
ホームタウン北摂・北河内地域
ホームスタジアムパナソニックスタジアム吹田
チームカラー青・黒
創設年1980年
所属リーグJ1リーグ
ガンバ大阪のチームプロフィール

チームの歴史

前身は「松下電機産業サッカー部」。Jリーグ創設時からの「オリジナル10」の一つ。

初タイトルは2005年のリーグチャンピオン。これを皮切りに2008年にはアジアチャンピオンなど数々のタイトルを獲得。

以上がガンバ大阪のチームプロフィールである。ざっくりと抜き出したものになるので、詳細はガンバ大阪HPにて確認頂きたい。皆様の認識と一致しているだろうか?

ガンバ大阪の最近の状況

年月リーグ順位天皇杯ルヴァンカップ(旧名:ナビスコカップ)ACL
2013年J2 優勝3回戦        ー
2014年J1 優勝優勝優勝
2015年J1 2位優勝準優勝ベスト4
2016年J1 4位ベスト8準優勝予選敗退
2017年J1 10位4回戦ベスト4予選敗退
2018年J1 9位2回戦ベスト8
2019年J1 7位3回戦ベスト4
2020年J1 2位準優勝グループステージ2位
2021年J1 13位ベスト8ベスト8予選敗退
2022年J1 15位ベスト16グループステージ3位
2023年J1 16位2回戦ベスト8
ガンバ大阪 近年の成績

2020年にリーグ戦2位、天皇杯準優勝という結果を残しているものの、それ以降は全く結果が出ていない状況に。恐らく、ガンバ大阪がつまらないと言われるようになったのは2020年以降のパフォーマンスが原因だと思われる。

そして見ても分かる通り、ここ8年ほどはタイトルから遠ざかっている。ここ3年間のリーグ戦成績は残留争いが指定席だ。天皇杯に関しては地域リーグ所属チームにも負ける始末。

監督も毎年変わり、シーズン途中での監督交代劇も珍しいものではない。

選手のケガやコンディション状況について

次に選手のケガやコンディション状況について解説する。しばらくの間タイトルから遠ざかっており、これからチームを立て直していく必要があると言われているこの大切な時期に、早くもケガ人が続出しピンチを迎えている。

選手名背番号ポジション負傷内容(離脱内容)備考
東口順昭1GK右膝内側半月板損傷2023年12月29日手術
福田湧矢14MF左腓骨筋腱障害2024年1月15日手術
中村仁郎41MF左膝軟骨損傷2024年1月19日手術
食野亮太郎8FW左大腿直筋肉離れ2024年1月21日受傷
選手ケガ状況一覧

以上がクラブからのアナウンスとなるが、全治など復帰時期に関しては明らかにされていない。

ガンバ大阪がつまらないと言われる理由や要因

YouTubeより引用

では、いよいよ本題に入っていきたい。ガンバ大阪がつまらないと言われる理由や要因を深堀りしていこう。

選手の入れ替わり

今シーズンの新加入選手は10名。チームの登録人数の約3分の1を新加入選手が占めている。いわゆるクラブの未来を担う「育成枠」の若い選手だけではなく、他クラブの主力や準主力といってもいいクラスの選手、脂の乗った選手達を多く獲得している。

かつて、チームの核となる選手はアカデミーで育成し、トップチームに昇格させるという流れが主流であったガンバにとって大きな転換期である。この時期、皆様の楽しみは予測フォーメーションではないだろか。

そしてその予測スタメンに2〜3名の新加入選手が入っていることと思う。そしてベンチには3〜5名の新加入選手が座っていないだろうか。試合に関わる選手の約半数が新加入選手ということになる。開幕戦でいきなりそこまでの極端な血の入れ替えがあるのか。

個人的には大いにあり得ると思っている。

それはなぜか

①チームが指向するスタイルは昨シーズンから継続されている。
②昨シーズンはお世辞にも「うまくいった」とはいえなかった。

つまり昨シーズンから在籍している選手には戦術理解の面でアドバンテージがあり、新加入選手にはないということだ。ただし、数名の新加入選手には当てはまらない。それがかつての教え子達だ。この選手達はスタートから試合に関わってくる可能性が高い。

この選手の入れ替わりがどう出るか。

大幅な血の入れ替えでファンが納得するかどうかという点は、子供達が憧れることができる、サッカー教材としてお手本として最高品質の試合を保証ができれば、納得する層は多いのではないだろうか。逆にいうとそこができていない現状が面白くない、つまらないと感じる要因の一つだと考える。

戦術の徹底

昨シーズンは基本フォーメーションが4−3−3と4−2−3−1。

攻撃時は前者で守備時は後者。今流行りの可変システムである。プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティなども採用している現代サッカーにおける最強の戦術だ。

この可変システムがうまく機能せず、特にネガティブトランジションの遅さや球際の強度不足、セカンドボール回収率低下などから結果的にボールを簡単に譲り渡してしまい、ゲームを難しくしてしまうことが多かった。

などなど書き出せばキリがないが、現代サッカーにおいて切り替えの遅さ・悪さは致命傷。

ゲームの主導権をも相手に譲り渡すこととなり、必然的に守備の時間が長くなる。プレーしている選手もしんどいが、見ているこちらもしんどい。これを数年通しで見ていると「つまらない」と感じても仕方がないのではないだろうか。

決定力の低さ

昨シーズン、FWのメインキャストとなったジェバリ。相手ゴールに最も近い位置でプレーするポジションだが昨シーズンは5点。得点以外の貢献度は高いが、彼は得点が仕事である。今シーズンはゴールという目に見える結果を最重要視してほしい。

また、彼に限らず決定力の低さが目立つ試合が多くなっているように感じる。どれだけいい攻撃をしても得点が入らないようでは試合には勝てない。この「決定力」と言った部分のレベルを上げていくことが今後のガンバ大阪にとって必要なことの1つと言える。

守備力・組織力の低下

戦術の共有が最もできていなかったと思うのが、この守備の部分で、大きな原因が2つ。

「ディフェンスラインのズレ」と「対人」だ。

サイドバックの裏とハーフスペースを誰が見るのか。誰が寄せていくのか。特にVAR導入以降は、ディフェンスラインのズレはもはや致命的とも言える。

この辺りの改善が対人能力とラインの統率で実績のある中谷を獲得した狙いだと考える。彼の獲得も含めて、チームとしての守備力と組織力の向上に期待したい。

闘争心や気持ちの面

私は、「サッカーは格闘技だ」と考えている。

実際に体をぶつけ合う場面も多いが、球際の強度や走り負けない覚悟など「闘うハート」をへし折られた瞬間に勝負は決まる。格闘技だとKOだ。

どんな状況でも堂々と最後まで戦い続けることは簡単ではない。 しかし90分間戦い続ける選手を目の当たりにした時、「つまらない」などと感じることはないのではないだろうか。

ガンバ大阪の強みや弱み

PR TIMESより引用

では次に、そんなガンバ大阪の強みや弱みについて解説していく。

強み

個人能力の高い選手が揃っている

例年、特に技術の部分で上手い選手が多く在籍している。

資金力があるクラブである

今年の新加入選手だけを見てもわかるがこれだけの選手を集める力がある。

国際的にも有名クラブである

特にアジアにおいてはACLの常連だったこともあり、有名クラブの一つである。

弱み

単純にチームとして弱い

強みを見ているとビッグクラブそのものだが試合には勝てない。

メディアへの露出が少ない

大阪はタイガースの支配下にあるとつくづく感じるほどにタイガース一色である。

育成の弱体化

アカデミーの成績というよりかはトップ昇格後に主力となれる人材の減少。

ガンバ大阪が弱点を克服し、強くなるために必要なこと

YouTubeより引用

中長期的に考えるとクラブのベースとなる人材の育成が必須である。今までも優秀な選手を輩出し、ガンバ大阪の歴史を作ってくれたアカデミーだが、近年は少し陰りが見え始めている。

主力に定着した選手があまりにも少なすぎること。トップ昇格する人数が少なすぎること。

こういった懸念事項を解消するために育成システムの見直しが必要だと考える。短期的に強くする方法はない。エムボマ時代のような怪物FWに全ておまかせで勝てるリーグ ではなくなっている。

ガンバ大阪サポーターの特徴や印象

ホームタウンの大阪・北摂の住人は大阪府内でもサッカーへの理解は高い。野球の地、大阪において唯一昔からサッカー人気が高かった土地柄だ。この北摂は昔から転勤族が多く住む地域だ。彼らは転勤族ゆえに地元住民程この地に愛着はない。この層は「チームの継続的な成長」よりも「勝つこと」「エンターテイメントとしての娯楽性」を重要視する傾向が強いように思える。

では逆に地元住民、昔から住んでいる生まれも育ちも北摂のファンは「チームの継続的な成長」を重要視しているかというとそうでもなかったりする。彼らが重要視するのは「面白いか、面白くないか」というエンターテイメントの要素である。そして大阪という土地において「面白い、面白くない」は「生きるか死ぬか」である。

と、少し極端な事例を示したが、この相反する2つの住民に共通して重要視する項目がある。

それは「教育」である。この北摂地域は治安が良く、子育てに適切な土地柄である。時間とお金を教育に投入する層は多い。そういった層がサッカー少年の教育をする上で、身近な存在のガンバを観戦をしている。

逆にいうと「教育上必要ない」「教本にならない」と判断すれば容赦無く観戦をやめてしまうであろう。

ガンバ大阪の選手層や戦術、チーム全体についての評価

・選手層は一部を除きほぼ問題なし。GKの獲得とできればWGの選手は獲得したい。
・戦術においては可変システムを継続するのか、守備時の曖昧さは改善するのか。

ここが全てではないか。

チーム全体について

選手個人は技術が高いだけに戦術とフィットすれば上位の成績を出せる可能性は秘めていると思う。個人的には新設されたフットボール本部が気になっている。

まとめ

少し違った視点からガンバ大阪がつまらない理由を探してきた。

①子供達にとって「憧れ」「お手本」の対象となれていない。

②戦術が徹底されておらず、見ていてしんどい試合が続いている。

③1試合を通して「戦えていない」ことが観戦のストレスとなっている。

「つまらない」と判断している理由は一つではなく複数存在する。そういった複合的な理由をわざわざ言語化する必要もないので一言で表すと「つまらない」となるのであろう。

今後彼らがどんなサッカーを展開し、どんな結果を出してくれるのか。大きな改革が必要となりそうだが、かつての「強いガンバ」の復活を心から願っている。

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