サッカー日本代表が得意とする攻撃戦術の1つに、選手の特徴を活かしたサイド攻撃が挙げられます。
最近は、様々な特徴を持った選手が次々と現れ、日本サッカーの攻撃もより面白いものとなってきました。その中で、右サイドの主力選手として活躍するのが今日ご紹介する伊東純也選手です。
彼の強みを活かした攻撃から得点が生まれる場面も多く、今後日本代表が世界に勝っていく為に欠かせない存在です。今日はそんな伊東純也選手のプレースタイルやポジション、経歴について徹底的に解説していきます。
伊東純也選手のプロフィール
名前 | 伊東純也 |
生年月日 | 1993年3月9日 |
身長/体重 | 176cm/66kg |
国籍 | 日本 |
ポジション | WG(RWG)、FW |
在籍チーム | スタッドランス |
伊東純也選手の経歴
小学1年生でサッカーを始めた彼は、中学に入ると横浜F・マリノスジュニアユースの入団テストを受けますが、不合格となります。伊東選手と同学年の日本代表キャプテン遠藤航選手も同じく不合格だったようです。その為、中学では横須賀シーガルズというクラブチームに所属していました。
高校は神奈川県立逗葉(ずよう)高等学校に進学し、チームとして結果を残すことはできなかったものの、複数の大学から推薦入学のオファーを受けるなどその才能を現し始めます。結果、神奈川大学に進学することが決まります。
大学1年目からJクラブのスカウトにマークされるなど、実力を発揮していましたが、彼が注目を集めるようになったのは大学3年時。関東大学サッカーの2部リーグで、得点王とベストイレブンを受賞。翌年にはアシスト王と2年連続となるベストイレブンに輝き、その活躍ぶりからヴォンフォーレ甲府への加入が決定します。
プロデビュー
2015年3月、対名古屋グランパス戦でプロデビューを果たすと、5月には初となるスタメンに抜擢。プロ初得点も記録し、調子のいいスタートを切ります。その後も出場機会に恵まれ、計30試合に出場し4得点を記録しました。
2016年1月、柏レイソルに完全移籍することが発表されます。シーズン開幕当初は右サイドバックでの起用が多かったものの、監督交代をきっかけにウィングやサイドハーフなどの攻撃的ポジションでの起用が増え、彼の強みが徐々に活かされるようになってきます。2017年にはJリーグ全試合に出場し、Jリーグ優秀選手賞を受賞。自身初となる日本代表にも選出されるなど、彼の名が広く知られるようになったシーズンと言えます。
海外への挑戦
日本での輝かしい活躍もあり、2019年2月にベルギーリーグのKRCヘンクに期限付き移籍することが決まります(後に完全移籍)。移籍1年目からチームのリーグ制覇に貢献する活躍を見せ、順調に主力選手へと成長していきます。
2020-21シーズンには公式戦42試合に出場し、12ゴール6アシストを記録。続く2021-22シーズンには、公式戦49試合に出場し、8ゴール21アシストを記録します。この21-22シーズンでの活躍からリーグアシスト王と年間最優秀ゴール賞を受賞し、注目を集める存在となっていきます。
2022年7月、リーグアン(フランス1部)のスタッドランスに完全移籍します。ここでもゴール、アシスト共に結果を残しており、プレーにも更に磨きがかかったように思います。サッカー強豪国であるフランスのトップリーグで、ヘンク時代以上の成績を出してくれることを期待したいですね。
伊東純也選手のポジション
右WG、右サイドハーフ(RMF)としての起用が多いですね。その他には2トップの一角として起用されたり、過去には右SBでのポジション経験もあります。最近は所属チームでも日本代表でも右WGでの起用で安定しています。
伊東純也選手のプレースタイル
驚異的なスピードとそれを活かしたドリブル
伊東純也選手の特徴と言えば、このスピードを思い浮かべる方が多いでしょう。
彼は50メートルを5秒8で走る快速な選手として知られています。日本に比べてスピードで勝る海外でもこの特徴は活かされており、スピードを活かした縦への突破や守備時のプレスバックではその強みが光る場面を多く目にします。彼のプレーの中でそんな強みが一番活かされているのが、ドリブルです。
プレミアリーグなんかでよく見るサイドから中に切り込んでシュートといった形や味方選手と細かくパスを繋いで崩すといったタイプではなく、スピードを活かして縦に勝負してクロスを上げるといった形での攻撃が一番多いですね。毎シーズンアシストを多く記録しているのは、彼のスピードを活かしたドリブルのおかげだと言っても過言ではないと思います。
また、海外移籍後はドリブルの技術も格段に向上し、タッチが正確になったと感じます。スピードで勝負できない場面やスピードで勝負するより良い選択肢がある場合、縦に運ぶ以外の技術も持ち合わせているので、相手DFからすれば厄介な選手でしょうね。
右サイドからのチャンスメイク
先ほどちらっとお伝えしましたが、彼は自身のスピードを活かして縦への突破を狙うことが多いです。一番多いのが縦にドリブル突破してクロスを上げるといった流れですね。私が見ている感じ、ボールを受けた後のプレーの狙いが「アシスト」であることが多いので、彼のスピードや精度の高さもあり、毎シーズンアシスト数が非常に多いのだと思っています。
また、彼が速い選手だということが相手チームに分析されて対策されている場合でも、彼はチャンスを演出する技術と判断力を持っています。相手SBの裏スペースがケアされていたり、初めから縦が切られて仕掛けることが出来ない場合は、中央の選手を使ったり自分に相手を引きつけておいて空いたスペースを活かすなど、ただ速さを活かした攻撃だけではないということです。
豊富な運動量
彼が日本代表でもスタッドランスでもスタメンで起用されるのは、この部分の影響が非常に大きいのではないでしょうか?
攻撃的な選手にあるあるなのが、守備をしないことです。ボールを取られた後は守備陣に任せて取り返そうとしないといったプレーが目立つことがありますが、彼は守備に対しても全力でプレーすることができます。近年、堅守速攻いわゆるカウンターサッカーが主流となりつつある中で、この守備を頑張れる選手は非常に重宝される傾向にあります。
前線からのハイプレス、自陣まで攻め込まれた時や相手カウンター時のプレスバックまでサボることなく頑張れますし、だからと言って攻撃時にサボったりプレーの質が落ちることもありません。豊富な運動量で攻守においてチームに貢献できるというのが、彼の良さですね。
伊東純也選手のウィークポイント(課題)は?
個人的な意見になりますが、彼のウィークポイントはプレーのパターン(引き出し)が少ないことだと思っています。
彼のプレーで一番多い、言い方を変えれば強みとしているのが、スピードを活かした縦への突破です。先ほどもお伝えしましたが、縦に突破してクロスを上げるといったこの流れが見ていて一番多いように思います。強みを活かした攻撃ができるといった面では非常にいいと思いますが、攻撃的な選手として少しプレーのパターンが少ないようにも思います。
カットインからのプレーや中央にポジションを取って、よりゴールに近い位置でプレーする、サイドから中央へ斜めに走り込んで裏を取るなど、もっと攻撃のパターンを増やすことができて、その精度が上がれば得点やアシスト数は今より格段に増えることでしょう。また、プレーの引き出しが増えることは結果的に一番得意としている縦への突破がしやすくなることにも繋がります。相手DFにとって、より驚異的な存在となることでしょう。
今後の彼のプレーがどのように変化していくのか非常に楽しみですね。
海外移籍後、プレースタイルに変化があった?
2019年の海外移籍後から彼のプレースタイルに変化が見られたので、その変化について個人的な意見も踏まえて解説していきます。
その変化は主に2つあります。1つ目が味方の使い方。もう1つがプレーの質です。順番に解説していきます。
・1つ目の味方の使い方ですが、海外移籍後から味方を活かすプレーに非常に良い変化があったように感じます。それぞれの選手の特徴を活かしたパスであったり、そのパスを出すタイミング、またそれを判断できる視野の広さと判断力の部分で大きく成長したと思います。
Jリーグ時代以上に周りをよく見てプレーしているなと感じますし、だからこそゴール前に走り込んだ味方やインナーラップで縦に抜けた味方、中央のスペースでフリーになっている味方を絶妙なタイミングで活かすことができます。そしてただパスを出すだけでなく、その選手がプレーしやすいボールを配球する配慮の利いたプレーもできるので、彼のスピードと技術を活かした一点突破ではなく、流動性のあるサイド攻撃をするシーンが増えたように思います。
毎シーズンアシスト数を多く記録しており、この味方の使い方といった面での成長は何より結果に表れていると言えますね。
・そして2つ目のプレーの質ですが、これは言葉の通り1つ1つのプレーの質が格段にレベルアップしたということです。パス1つにしてもシュート1つにしてもその精度の高さはJリーグ時代を遥かに上回るものだと思います。味方にピンポイントで合わせるパスであったり、スピードに乗ったドリブルの中でもその質の高さが光る場面は多く見られます。過去に日本代表FWの上田綺世選手が、「トップスピードの中でも精度の高いプレーを出来ることが伊東選手のポイント」と言っているのも納得できます。
自身の特徴は活かしつつも、プレーの質を落とすことなく、より丁寧で正確なプレーが出来るといった部分で海外移籍後の彼の成長が感じられると思います。
伊東純也選手のプレー集
さて、伊東純也選手のプレースタイルについての解説を行ってきました。お伝えしてきた内容も踏まえて、彼の実際のプレーをぜひご覧ください。
伊東純也選手の成績や評価
伊東純也選手の過去成績
シーズン | 在籍チーム | 成績 |
2017-18 | 柏レイソル | 44試合10ゴール13アシスト |
2018-19 | ヘンク | 21試合3ゴール1アシスト |
2019-20 | ヘンク | 39試合5ゴール6アシスト |
2020-21 | ヘンク | 44試合13ゴール14アシスト |
2021-22 | ヘンク | 66試合14ゴール25アシスト |
2022-23 | スタッドランス | 51試合10ゴール10アシスト |
※リーグ戦、カップ戦、代表戦全てを含めた公式戦での結果です。
伊東純也選手の評価
ヘンク時代もスタッドランスに在籍している今でも評価は非常に高いようです。もちろん日本代表でもスタメンとして起用され続けているので、日本で高く評価されていることは分かりますが、海外からも高評価を得ています。
ブラジルの地元紙では森保ジャパンで最高の選手として取り上げられたり、フランスの現地メディアでは、2023年のウィングランキングであのネイマール選手を上回る4位に選出されるなど、その活躍ぶりがとても評価されているようです。
伊東純也選手の市場価値・移籍金
伊東純也選手の市場価値推移
年月日 | 在籍チーム | 市場価値 |
2018年1月 | 柏レイソル | 約1億5000万円 |
2019年6月 | ヘンク | 約3億円 |
2020年10月 | ヘンク | 約6億円 |
2021年6月 | ヘンク | 約10億円 |
2022年9月 | スタッドランス | 約10億円 |
2023年6月 | スタッドランス | 約16億円 |
伊東純也選手の移籍金
年月日 | 移籍チーム | 移籍金 |
2019年 | 柏レイソル→ヘンク | 約3億円 |
2022年 | ヘンク→スタッドランス | 約14億円 |
伊東純也選手の歴代背番号は?
在籍チーム | 背番号 |
ヴォンフォーレ甲府 | 15、33 |
柏レイソル | 14 |
ヘンク | 7 |
スタッドランス | 7、39 |
日本代表 | 14 |
日本代表での「14番」のイメージが強いですが、過去には様々な背番号を背負ってきたことが分かりますね。
まとめ
さて、日本代表のスピードスターそして攻撃の要として活躍する伊東純也選手について解説を行ってきました。年々プレーの質も上がり、日本に限らず海外でも高評価の伊東純也選手。最近では少し心配なニュースもありましたが、今後日本がW杯ベスト8の壁を打ち破る為に絶対に必要な選手と言えます。
彼の今後の活躍、そして彼が躍動する日本代表に注目していきたいと思います。
では、また。