サッカーにおける技術の1つである「ヘディング」。ヘディングは攻撃においても守備においても使える技術の1つで、その強さやうまさは試合の勝敗にも大きく関わります。

私自身、学生の時は全国大会出場経験もある強豪校でサッカー部に所属し、副主将を務めた経験があります。その時によく言われたのが、「空中戦を制するものが試合を制する」ということでした。それだけヘディングという技術はサッカーにおいて大切です。

そこで今日は、ヘディングが上手くなりたい人、ヘディングの競り合いに勝ちたい人に向けてそのコツを解説していきます。この記事を読んでヘディングをマスターしましょう。

ヘディングとは?

ご存じない方はいないかもしれませんが、まずヘディングとは何か?について説明していきます。

Wikipediaではこう書かれています。

ヘディング (英: heading) とは、サッカーにおけるプレーのひとつで、頭をボールに接触させてボールを扱うことをいう。英語ではheaderと呼ばれることが多い。

基本的に足でプレーするサッカーにおいても、この頭でボールを扱うという技術は非常に重要です。このヘディングは得点シーンを始め、攻守の攻防やパスなんかにも使われます。サッカー選手が身に着けておくべきスキルだと言えるでしょう。

ヘディングによる脳への影響は?

まず、ヘディングのコツを紹介していく前に、ヘディングによる脳への影響はないのかという意見に対して回答していこうと思います。

近年、ヘディングによる脳への影響を懸念する声が挙がっています。では、実際に脳への影響はあるのでしょうか?海外の大学で研究された結果をもとに解説していきます。

海外の大学の研究結果によると、サッカー選手は普通の人と比べて、アルツハイマー病や認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患による死亡率が高いことが報告されています。

ですが、実際には明確な証拠があるわけではなく、直接的な因果関係は不明です。

アメリカやイギリスなどは、ヘディングによるガイドラインを設けていたり、11歳以下はヘディング禁止や練習の制限などを行う国も見られます。個人的には、明確な証拠があるわけでもないので、そこまで気にする必要もないかなとは思っています。

ヘディング練習で避けたいこと

とは言っても、大学の研究結果や海外ではヘディングによる脳への影響を懸念する声があるのも事実です。直接的な因果関係が不明な以上、断定するような意見は言えませんが、小学生や中学生など、まだ体の小さい選手は練習の上限を決めたり、強いボールを何度もヘディングするようなトレーニングは出来るだけ避けるなど、ヘディング練習の頻度や方法には配慮した方がいいかもしれませんね。

ヘディングにはどんな種類があるのか

一口にヘディングとは言っても、どんな種類があるのでしょうか?ここではヘディングの種類について簡単に解説していきます。 ※コツや注意点などは、後ほど解説します。

スタンディングヘッド

ヘディングの中で最も基本となるのが、このスタンディングヘッドです。その名の通り、立った状態でジャンプなどはせずに行うヘディングで、他のヘディング技術にも繋がってきます。初心者はまずここから身に着けていくべきでしょう。

ジャンピングヘッド

これもその名の通りだと思いますが、ジャンプした状態で空中でヘディングをする技術です。個人的には試合で1番使うヘディングだと思っており、このジャンピングヘッドの強さが試合の勝敗にも大きく関わってくると思っています。得点シーンやディフェンスのクリアなど、攻守に渡って必要なヘディングですね。

ダイビングヘッド

ヘディングの中では1番難しいと思います。使う場面としては、低いクロスボールに合わせる時やその場から遠い位置にボールがある時などに使います。元日本代表のFW岡崎選手がこのダイビングヘッドを得意としており、様々な得点シーンを演出していましたね。

わかりやすい動画がありましたので、こちらをご覧ください。

YouTube:Japan Scoutさんより引用。

バックヘッド

主にFWの選手が、ゴールキックなどの競り合いの時に使うヘディングです。普通の前に弾くヘディングとは違う難しさがあり、経験が必要です。ですが、このバックヘッドが強いだけで簡単にチャンスを演出できるので、特にFWの選手には必須のスキルだと言えますね。

方向を変えるヘディング

全部のヘディングに共通して言えることですが、ヘディングは単純にボールが来た方向に飛ばし返せばいいという訳ではありませんよね。ヘディングシュートにしても、ディフェンスのクリアにしてもパスにしてもある程度狙った位置にボールを飛ばす必要があります。つまり、飛んできたボールの方向を変えなければいけません。特に、ヘディングシュートなんかは尚更ですよね。このボールを飛ばす方向を変える技術は全てのヘディングにおいて大切になってくるので覚えておきましょう。

試合ではどんなヘディングを使う?

上ではヘディングの種類について簡単に解説してきましたが、実際の試合ではどんなヘディングを使うのか?ここでは試合でよく使うヘディングを取り上げていきたいと思います。

ヘディングシュート

一番想像しやすいのがこのヘディングシュートではないでしょうか?セットプレーからの得点、サイド攻撃からのクロスボールによる得点など、ヘディングシュートによる得点は多いです。ゴールの枠を確実に捉えられる正確さやヘディングの威力が求められます。

ヘディングのパス

ヘディングは、シュートやクリアといった場面以外でも使います。攻撃時であれば、ゴール前での折り返しのパスや浮いたボールの処理などが挙げられます。守備時であれば、ゴールキーパーへ下げるパスなどが挙げられますね。状況によっては攻守どちらの場面でも使えるので、臨機応変にヘディングでも対応できるよう、練習しておく必要がありますね。

相手との競り合い

自分はCBでプレーしていたので、この相手との競り合いが頻度的には1番多かったですね。相手のゴールキック、裏へのロングパスへの対応、コーナーキックのクリアなど、その他にもたくさんの場面で使います。試合中にするヘディングのほとんどはこの競り合いによるものだと思いますので、相手に競り勝つ方法は絶対に身に着けておきましょう。※競り合いに勝つ方法も解説します。

ヘディングが出来ない・ヘディングが弱い人の特徴

では、ヘディングが出来ない人やヘディングが弱い人にはどのような特徴があるのでしょうか?主に2つありますので、1つずつ解説していきます。

ボールに恐怖心がある・ビビってしまう

ヘディングが出来ない人に多いのは、このボールに対する恐怖心ではないでしょうか?ヘディングを上達させる為には、まずこのボールに対する恐怖心をなくす必要があります。ボールが近づいてくるとどうしてもビビってしまったり、目をつぶってしまったりしてしまう気持ちはよくわかりますが、ここを克服しないといつまでたっても上達しません。練習を重ねて少しずつ慣れていくことがヘディング上達への第1歩です。

体の使い方と当てる位置が悪い

ヘディングは単純に頭に当てるだけでは、うまく飛びません。具体的には、体の使い方とボールを当てる位置が大切になってきます。

まず体の使い方ですが、分かりやすく簡単に言うと「体を後ろに反って、反った体を戻す反動でボールを当てる」です。ボールをしっかりと飛ばせるように、体全体を使う必要があるということです。ヘディングが出来ない人や弱い人はこの動きが出来ていない可能性があります。

ボールを当てる位置は、ちょうどおでこの辺りより少し上がベストです。上過ぎても下過ぎてもよくないので、ここにしっかりと当てることが大切です。ヘディングが出来ない人や弱い人にありがちなのが、頭の上の方で当ててしまうパターンです。そうすると前ではなく、真上に飛んでしまうことになるので、当てる位置は意識するようにしましょう。

他にも様々ありますが、以上の2つが出来るだけで、格段にヘディングが強くなると思いますので、覚えておくようにしましょう。

ヘディングの基礎・基本

では、ここからはヘディングを上達させる為のヘディングの基礎について解説していきます。先ほどと被る部分もありますが、基本姿勢、ミートポイント、体の動かし方という3つを挙げさせていただきました。

では、1つずつ解説していきます。

基本姿勢

それぞれのヘディングの種類やその時の状況によって変わってきますが、基本は足を肩幅ぐらいに開ける、もしくはどちらかの足(自分は利き足)を後ろに下げた状態で、首をしっかりと固定し、両腕でバランスを取る。これが基本姿勢になります。個人的には、利き足を後ろに下げた状態で、足を前後に開いた方がやりやすいと感じました。これはあくまでも基本なので、自分が1番やりやすいと思う姿勢を探してみてください。

ミートポイント

ボールを頭のどこに当てるかでボールの飛び方は全く違ってきます。1番いいのは、おでこの真ん中辺りより少し上ぐらいかなと思います。ここに確実に当てるポイントは、「しっかりと目を開けてボールを見る」です。先ほどもお伝えしたボールに対する恐怖心をなくすということが大切になってきますね。次に紹介する体の動かし方と合わせてこの当て方ができるとボールをより遠くに飛ばすことが出来ますので、覚えておきましょう。

狙う場所や、経験によってこのポイントは変わってきますので、あくまでも基礎となります。

体の動かし方

最後は、体の動かし方です。ヘディングでボールをしっかりと飛ばすためには、この体の動かし方がとても大切です。頭の当てる位置も大切ですが、体全体も使うことでボールをより遠くに飛ばします。

まず、ボールの落下地点に入り、体を後ろに沿ってボールが落ちてきたタイミングで体を戻す反動を活かし、頭にボールを当てる。この時に大切なのは、ボールを当てる位置は体のラインより前でも後ろでもなく、ちょうど自分の体のラインと1直線になるところです。あとは、腕をしっかりと振って勢いをつけることが大切です。

ヘディングを強く正確に飛ばす為には?

ヘディングを狙ったところに強く正確に飛ばす為に大切なことは、体の使い方とミートポイントの2つです。ヘディングのコツは他にも様々ありますが、「強く正確に」という点にこだわるとこの2つかなと思います。

まず、強くて勢いのあるボールを飛ばす為には体の使い方が非常に重要です。先ほどの「ヘディングの基礎・基本」の部分でもお伝えしましたが、頭にボールを当てるだけではなく、体を後ろに反り、反った体を戻す反動でボールを当てる。体の動きもボールに伝えることでより強いボールをより遠くに飛ばせるようになります。

そして正確な位置に飛ばすポイントとしては、ミートポイントが大切になってきます。頭のどこにボールを当てるかです。おでこの真ん中より少し上と言いましたが、それはあくまでも基本です。狙う所によってはそれが横にずれたりすることもあります。例えば、真正面から来たボールを真横にいる味方にパスしたい時なんかは当てる位置はおでこの真ん中というよりは、より味方がいる方に近い部分になるかと思います。

以上の2点を抑えることで、ヘディングでより強く正確なボールが飛ばせるようになるでしょう。

ヘディング上達のコツ

ここではヘディング上達のコツについて解説していきます。このコツをしっかりと抑えることができれば、今よりヘディングが格段に上手くなるでしょう。練習や試合で意識してみてくださいね。

ヘディング上達のコツ① ボールに慣れる・恐怖心をなくす

まずは、ボールに慣れて恐怖心をなくすことが上達のコツです。恐怖心があるとどうしてもボールから逃げがちになったり、目をつぶってしまったりします。克服方法としては、もう練習あるのみだと思います。日々の練習でいかに恐怖心をなくすことができるか、頭でボールを扱うことに慣れることができるかがカギですね。練習量がそのまま表れる部分と言ってもいいでしょう。

ヘディング上達のコツ② 自分のミートポイントを知る

先ほどからお伝えしていますが、ボールを頭のどこに当てるかは非常に重要です。基本的にはおでこの真ん中より少し上ぐらいですが、これは必ずしもここである必要はありません。

高校時代、ヘディングが上手い友人2~3人にどこに当てているか聞いたことがありますが、それぞれ違いました。おでこの真ん中や髪の毛の生え際辺り、こめかみの上あたりという人もいました。ここからもわかるように、自分がやりやすいと思った位置、ボールを確実にミートできる位置をまず知るということが上達のコツです。

ヘディング上達のコツ③ 体づくりの筋トレ

筋トレとか関係あるの?なんて思うかもしれませんが、ヘディングは様々な筋肉を使います。例えば、ジャンプする際は足の筋肉を使ってより高くジャンプする必要がありますし、空中で相手とぶつかりあう時は、ぶれない体幹が必要です。ヘディングの基本においても、上体の動きをボールに伝える為には腹筋も使います。このようにヘディングは頭だけではなく、全身を使うので足や腹筋、体幹トレーニングを欠かさず行っておくと、ヘディングで負けることがなくなるでしょう。

また、筋トレによって全身に筋肉がつけば、より強く遠くにボールを飛ばすことも可能になります。

ヘディングの競り合いで絶対に勝つたった1つの方法

色んなヘディングを紹介してきましたが、このヘディングの競り合いが実際の試合で使う頻度としては1番多いです。そしてヘディングの競り合いにおける勝敗は、試合の結果にも大きく影響してきます。それだけ競り合いの強さは大切だということです。ここでは、この競り合いに絶対に勝つたった1つの方法をお伝えしていきます。

では、そのたった一つの方法とは何でしょうか?それは、

「タイミングよく、相手より先に飛ぶこと」。

これです。これだけで競り合いは簡単に勝てるようになります。では今から解説していきますね。

じゃあタイミングよくってどんなタイミング?と思いますよね。具体的には、ボールが最高到達点に達したタイミングです。ボールが一番高い位置に上がったその瞬間に飛ぶことがポイントです。「いや、早すぎるだろ」と思うかもしれませんが、このタイミングでジャンプすると、大体の場合相手より高い位置でボールに触れることができます。このタイミングが難しいようでしたら、自分でも早いなと感じるぐらいのタイミングで飛んでみて下さい。

しかも、このタイミング(ボールが最高到達点に達したタイミング)で飛ぶことは、必然的に相手より先に飛ぶことに繋がってきます。経験上、このタイミングで飛んでいる選手はほぼいません。強豪校レベルになると少しいるかなぐらいです。これができれば、自分より身長の高い選手に競り勝つことも可能です。

もちろん、ある程度のジャンプ力も必要になってきますが、これは後からでも構いません。まずはこのタイミングを合わせて、相手より先に飛ぶことを意識してみるようにしましょう。

初心者がヘディングで気を付けること

ヘディングの基本や上達のコツ、意識するといいことなどヘディングについて解説をしてきましたが、初心者が気を付けることは1つだけです。

それは、「ヘディングに慣れること」です。

今日はヘディングのコツを詳しく解説してきましたが、やはり最初はボールが怖いですし、どの辺りに当てたらいいのか、どんな姿勢がいいのかなど分からないことだらけですよね。ですので、まず初心者の人は「ヘディング」という頭でボールを扱う技術に慣れましょう。これはもうとにかく練習を積み重ねることです。練習を重ねていけば、だんだんどこに当てるといいのか、どんな姿勢がいいのかなどが分かるようになります。

まずは、日頃の練習から今日解説したことを意識しつつ、ヘディング練習に励んでみましょう。

ヘディング上達の為の練習法

では、「ヘディング練習とは言っても、具体的に何をすればいいの?」と思っている方に向けて、ヘディング上達の為の練習方法を初心者と中級者・上級者に分けて紹介します。

初心者の為の練習法

まず、初心者で本当に何もできない、分からないという方は下の動画の練習から始めてみて下さい。

ボールへの恐怖心を取り除く練習から始まり、しっかりとヘディングができるようになるまでの基本を分かりやすく解説されています。初心者には必見です!

YouTube:本気の小学生へ向けたサッカー上達ボディコーディネーションさんより引用。

中級者・上級者の練習法

次は、ある程度ヘディングができるようになった方や、ヘディングをもっともっと強くなりたい、うまくなりたいという方に向けて、おすすめの練習方法です。

2人1組で行う練習方法です。この練習を重ねれば、特に競り合いに強くなれるでしょう。私も高校生時代に毎日のようにやっていた練習方法です。

YouTube:にっしーチャンネル from HYBRID SOCCERさんより引用。

まとめ

サッカーにおいてヘディングという技術がいかに大切であるか、またそれを上達させる為のコツや意識するといいこと、競り合いに勝つ方法などを解説してきました。しかし、コツを知っていても上達はしません。練習を繰り返すことで、コツを掴めるようになり、うまくなっていきます。初心者の方もそれ以外の方も、まずは日頃の練習から今日解説した内容を意識して取り組んでみてください。

ヘディングが強くなれば、空中戦が楽しく感じるようになりますよ!

では、また。

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