サッカー経験者のあるあるですが、足がつる経験をした選手は多いのではないでしょうか?

後半に足がつって動けなくなり、相手選手に筋肉を伸ばしてもらうシーンはJリーグや海外のプロの試合でもよく目にします。足の吊りが原因で満足にプレーすることが出来ない事も多くフィールドプレーヤーの悩みの1つとなっています。

今回は足のつり予防とつった際の対策をご紹介していきます。

足がつる原因とは?

足がつる原因は明確な答えはまだ出ていません。水分や電解質の不足が原因と言われていますが、水分補給を十分に行っていてもつってしまう例も多く、研究が進んでいる段階です。

そんな状況ですが、近年は足がつる原因として筋肉を収縮させる運動神経が過剰に活動することにより引き起こされるという考え方が提唱されています。

激しい運動を行うと筋肉は収縮を繰り返し、関節を動かして動作を行います。求められる運動強度が高い場合や、長時間の運動により筋肉が疲労すると筋肉への負担が増し、過負荷の状態になってしまいます。筋肉の能力より高いレベルの筋力発揮を継続して行うと、筋肉をコントロールする運動神経に過剰な負担がかかってしまい、神経系のコントロールが乱れてしまうと考えられています。

筋肉は神経の電気信号に従って収縮します。神経と筋のコンディションが低下しないように注意する事が予防として有効と考えられていますが、コンディションを左右する要素として、水分や電解質の不足も挙げられています。そのため定説であった水分や電解質の不足が完全に否定されているわけではありませんが、筋コンディションの低下が足のつりの原因と考える専門家は増加しています。

足がつった時の対処法は?

まずは神経の興奮を抑える

足がつった時の対処法はまず神経の過活動を抑制する事です。運動を中止し呼吸をゆっくりと行い体の緊張を解きましょう。痙攣している部位をたたいたり揉んだりするよりも、まずは力を抜くように努めてつっている部位に空気を送り込むようにイメージしながら深呼吸を繰り返しましょう。

痙攣している筋肉をストレッチする

ある程度痙攣が収まったら痙攣している筋肉をゆっくりとストレッチします。筋肉は腱繊維を介して骨に付着しており、ストレッチをすることで筋肉だけでなく腱に伸長刺激が加わります。腱がストレッチされると筋肉には弛緩する反射が働くため、筋収縮のスイッチをオフにしやすくなると考えられるのです。

しかし、ストレッチをかけると筋肉の痙攣は一時的に治まりますがつった筋肉は刺激に敏感になり、少しの刺激でもすぐにまたつってしまいます。その状態でプレーを続けると肉離れなどの筋損傷に発展する可能性が高いので、一度つってしまったらプレーを休止して休むことが大切です。

栄養補給を行う(水分だけではNG)

痙攣が収まり、過度な収縮が起こらなくなったら水分と栄養(糖質)の補給を行います。水分と筋収縮のために必要なエネルギーが不足すると筋の収縮する機能は低下します。痙攣後の筋肉は疲労困憊の状況だと想定されるので、回復のために必要な栄養を摂るようにしてください。

運動直後は水分だけを摂取しても体内に吸収されにくい状態です。筋収縮のエネルギーにも必要になる糖質を水分と一緒に摂ると体内への吸収もスムーズになりますし、筋肉のエネルギー確保になるので水だけを摂取しないように注意しましょう。市販されているスポーツドリンクは糖質を含んでいる商品が多く、簡単に手に入るので痙攣後の摂取にはおすすめです。

マグネシウムスプレーは効くの?

数年前から足の吊り予防にマグネシウムを含んだ体表に塗るローションタイプの商品が発売されており、プロスポーツの現場でも愛用しているアスリートは存在しますが、マグネシウムローションによる下肢の痙攣予防効果は個人の感覚によって差があり、万人に効果があるとは言えません。

この個人差は、足がつる原因が一つの要因から起こるものではなく多様な要素が重なって起きているためと考えられますが、効果を実感している選手がいる事も事実ですし、ハーフタイムなどの運動途中に塗り込むことで筋の緊張を抑制する効果も考えられるので、興味がある人は試してみても良いでしょう。

足をつらないようにする為の予防法

下腿のつりの原因が筋肉に過剰な負荷がかかってしまい神経の過活動がおきてしまうのであれば、つり予防として筋力トレーニングが有効な手段になります。

まずは筋肉を鍛える

筋肉を鍛えると言ってもやみくもに鍛えるのではなく、最大筋力を上げるトレーニングを行うと良いでしょう。現在の最大筋力や筋持久力を超える機能を要求され続けた結果、神経の過剰な興奮が起こると想定されるならば、最大筋力を上げるトレーニングを行えば相対的に筋肉への負担は下がるので、足の痙攣を予防する効果が見込めます。

研究レベルで明確な結論が出ているわけではないので、推論レベルではありますが筋力トレーニングを適切に行い筋肉のコンディションを上げておくことは予防策として妥当だと思われます。

運動前、運動中に関わらず、水分補給する

筋肉のコンディションを維持するために、運動前から水分補給を行うようにしてください。自分の体重の2%を下回ると脱水症状が出現し始めます。脱水症状が起こった状態ではもともとの筋力が強くとも、筋肉がどれだけ強くとも力を十分に発揮できる状況では無くなってしまうので、水分が抜けてしまわないようにこまめに水分補給をして下さい。

摂取する水分には適度に糖や電解質が含まれているものをオススメします。市販のスポーツドリンクを水で薄めて飲むことを推奨される場合もありますが、基本的は運動している人間に適した濃度に調整されている飲み物ですので、喉の渇きを自覚する前に少しずつ摂取するように心がけてください。

ミネラルやビタミンなどの栄養を補給する(サプリでもOK)

ミネラルやビタミンなどの栄養素を事前に補給する事も、筋コンディションを維持するために重要な要素です。特にビタミンの中には水に溶ける性質を持っている水溶性のビタミンは長く体内に留めておくことが難しいので定期的に食事の中に組み込む必要があります。

現代の食事は気を付けないと炭水化物が多くなる傾向にあります。しかし、理想的な食生活を送ることは難しいのが現状です。プロのアスリートも食事だけでなくサプリメントを使って体内の栄養状態に偏りが出来ないように努めていますので、脚のつりを予防したい方も食べている栄養素を意識する事が大切になってきます。

アップを十分に行い筋肉の動きを良い状態にする

日常的に食事や水分補給に気を使っていたとしても、いきなり高強度の運動を始めてしまうと簡単につってしまいます。特に過去に痙攣の経験があり、いわゆる「攣ることが癖になっている」人はこの傾向が顕著です。

筋肉に固さが出来るとその部位の動きを良くするのには相応に時間がかかります。その分準備運動の時間を長くとり、サッカーを始める前にしっかりと筋温を高めることは足のつりを予防するためには重要な要素です。

足のつりやすい方はサポーターやテーピングの使用も検討する

サポーターやテーピングなどを使用し筋肉に圧迫を加えることで筋収縮を促し、足のつりを予防する方法も良いアイデアの1つです。疲労軽減効果を目的に作成されたコンプレッションウェアも市販されているので足のつりを予防したい方は試してみると良いでしょう。

注意点としては、圧迫が過度になると血流の抑制効果が強くなってしまい、逆に足のつりを助長する可能性があります。近年の海外リーグでは試合用ソックスに切れ目を入れてふくらはぎにかかる圧力を低下させる工夫をしている選手もいるので、過度な圧迫にならないよう注意して下さい。

足をつらないようにする為に日頃からできること

足のつり予防として筋コンディションを良くするために日頃から行うべき行動について解説していきます。

筋力をつける(筋力トレーニング)

前述の通り最大筋力を上げるトレーニングを行うと足のつりを予防する効果が期待出来ます。最大筋力を上げるにはいわゆる「筋トレ」を行いますが、重量や回数の設定によってトレーニングの効果に違いが生まれます。特に重量設定は重要で初心者向けには10回×3セットを行う事が出来る重量を負荷する事が推奨されていますが、最大筋力を上げるためには3回~5回程度反復できる重さで5~6セットを目安にトレーニングを行うと良いでしょう。

トレーニング初心者ならば10回×3セットでも最大筋力の向上が見込めるので、これから筋力トレーニングを始める人は問題ないのですが、筋力トレーニングを数か月以上行った経験のある方は、目的に応じた適切な重量と回数を設定しなければ狙った効果を得る事は難しくなりますので、重さと回数を意識してトレーニング内容を組むようにしてください。

足のつり予防としてトレーニングをする場合は、つりやすい部分だけでなく同じ働きをする筋肉を同時に鍛えてあげると効果的です。例としてはハムストリングスがつりやすい人は、ハムストリングスと協働して股関節を伸ばす役割を持つ大殿筋を鍛えると、ハムストリングスへの負担が相対的に軽減されるのでより足のつりを予防する効果が高まります。

日頃の食生活に気を配る

筋コンディションと共に重要なのがミネラルや水分量が不足しないように体内に蓄えることです。特に水分は飲料だけでなく食べ物の中にも含まれているので、水分量を多くするだけでなく食事の量と質のどちらにも気を付けることは重要な要素です

足のつり予防に効果がある特定の食材や食習慣は現在のところ確立されていませんが、栄養バランスの良い食事を日常的に食べるように心掛けることで体のコンディションを整え、運動前日には炭水化物を多く食べるように工夫するとエネルギーが多い状態で運動に臨むことが出来るので、筋コンディションの維持ひいては足のつり予防に食事内容の吟味は必須と言えるでしょう。

日頃の生活から筋肉疲労を残さないようにする(ジョギングやストレッチ)

筋肉が運動前から疲労している場合は足がつるリスクが高まっている状態です。筋肉の疲労を取り除くには血流を良くし血液循環量を増やすことが効果的です。マッサージや入浴などを行うのは良い方法ですが、足のつり予防を目的とするならば、ジョギングやストレッチなどの軽い運動を行う事で筋肉の収縮を促し動きやすい状態に整えるとより良いでしょう。

筋肉は収縮する事が主な役割です。ジョギングなどの軽運動をすることで筋肉はリズミカルに収縮します。筋肉内の血管もそれに伴い伸び縮みすることで血流は増加していきます。疲労するほどの過度な運動にならないように注意は必要ですが、マッサージや入浴より血流量の増加は見込めますし、運動刺激が入ることで神経系のコンディションを高めることも期待できるので時間のある方にはお勧めです。

まとめ

足のつりの原因と予防方法について簡単に解説しました。

足のつりはまだ明確な原因が解明されていない現象です。より研究が進み明確な原因や対策が新たに表れる可能性はありますが、現在の情報では筋肉のコンディションを整えつつ、水分や電解質が不足しないように注意する事が予防方法として効果的と考えられています。 サッカーで足のつりが多く困っている人にとって有益な情報になる事を願っています。

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