現代サッカーにおいて、様々な能力が求められ重要な役割を果たすポジションである「ウイング」。
世界のビッグクラブもこのウイングの獲得には力を入れており、近年非常に重要視されているポジションです。攻守に渡り、このウイングの働きがチームの勝利に大きく関わると言っても過言ではないでしょう。
今日はそんなウイングについて、ウイングとは何なのか、その役割や求められることは何か、どんな選手がいるのかなど、徹底的に解説していきたいと思います。
この記事を読んでウイングへの理解が深まれば、サッカーがもっと面白くなるはずです。
サッカーのウイングとは?
ウイングとは、チームの左右(サイド)の最前線に配置されるポジションのことです。日本語では「翼」という意味を持ち、翼のようにチームの両翼に位置します。主に4-3-3や4-1-2-3など、最前線が3枚つまり3トップを採用するチームに見られるポジションで、サイドのより高い位置でプレーすることが特徴として挙げられます。
ポジションはどこ?
ウイングはサイドの一番高い位置(最前線)でプレーします。黄色の9番と11番がウイングと呼ばれるポジションですね。3トップの両サイドはウイングと覚えてもらってもいいかもしれません。
サイドハーフとの違い
ウイングとよく似たポジションにサイドハーフがあります。では、このサイドハーフとウイングの違いは一体何なのでしょうか?
まず、分類としてサイドハーフはMF、ウイングはFWに分けられます。どちらもサイドを戦場とするポジションですが、ウイングの方がサイドハーフより攻撃的なポジションになります。ですので、ビルドアップの際や守備の際に求められるものも変わってきます。サイドハーフはビルドアップに積極的に関わり攻撃を組み立てますが、ウイングは攻撃を組み立てるというよりは、味方が繋いできたボールをサイドの高い位置でもらって、ゴールまで向かうといったイメージです。
このようによく似たポジションと言われながらも、役割や必要な能力というのは全然違います。
ウイングの動き方
では、具体的にウイングがどういった動き方をしているのかについて解説していきます。
攻撃
攻撃時は基本的に、サイドの高い位置(センターフォワードと並ぶくらい)でボールを受けて、サイド突破、カットインなどを狙います。その他にもサイドから中央にポジションを取ることで、味方にスペースを作ったり、そのまま中央でボールを受けてラストパスを通したりなど、様々です。また、ウイングの選手によってもプレーの特徴が異なるので、攻撃時の動き方もそれぞれでしょう。
守備
守備の際、特に高い位置での守備では、コースを限定しながらプレスをかける、プレスバックして中盤やサイドバックの選手とサンドして奪うなどが挙げられます。逆に自陣深くまで攻め込まれた時は、最終ラインより1つ前ぐらいの位置で中央のスペースや相手のボランチタイプの選手を潰す役割があります。状況によっては、ゴール前での守備に参加することもあるでしょう。
ウイングの役割
では、ウイングが果たす役割について解説していきます。
サイド突破
サイドを戦場とするウイングにとって醍醐味とも言えるプレーです。サイドの高い位置でボールをもらうことが多いポジションなので、相手の守備を1枚でも抜ければ一気にチャンスとなります。ですので、1対1で競り勝ちゴール前までボールを運ぶことが役割として期待されています。その後はシュートで得点を狙うかクロスを上げて味方の得点を演出するかの判断が必要です。突破して終わりという訳ではありません。
相手を引き出す
あまり目立たないプレーではありますが、攻撃において重要な役割を果しています。要はウイングの選手の動きやポジション取りによって相手を引き出す(おとりになる)役割です。
ウイングの選手がタッチラインギリギリにポジションを取ることで、相手のサイドバックを引き付ける。そうすると、センターバックとサイドバックに間にスペースが生まれます。また、逆にサイドから中央にポジションを取ることによってサイドのスペースを空けることもできます。
このようにウイングの選手の動きやポジション取りによって、スペースを作り出しそのスペースを活かした攻撃を可能にする。ウイングの選手自身がチャンスを演出するのではなく、組織として攻撃を展開する場合に有効な手段と言えます。
前線からのプレス
相手のビルドアップに対して前線からプレスをかけることで、より高い位置でボールを奪うという役割もあります。ボールに対してただプレスをかけるのではなく、しっかりとコースを限定し、相手の攻撃の芽を潰すことが大切です。その為には、相手選手や周囲の状況の確認、状況判断力、味方同士のコーチングなど様々な能力が必要となってきます。
また、プロの試合なんかを見ていても、センターフォワードがボールを奪うよりもウイングの選手がボールを奪う場面の方が多いと感じます。それはやはり、両サイドがピッチ中央よりハメやすい位置だからでしょう。つまり、ウイングの選手がこの部分を徹底して行えば簡単にチャンスを作り出せる可能性があるということです。前線からのプレスが上手いウイングは、この先も重宝される存在となるでしょう。
ウイングに求められる能力
続いて、ウイングに求められる具体的な能力について解説していきます。
スピードとテクニック
高い位置でボールを受けることが多いウイングにとって、1対1の強さというのは非常に大切です。試合で何度も1対1を仕掛ける場面があるポジションです。特にスピードとテクニックを兼ね備えた選手が理想ですね。サイドを縦に突破するにしてもカットインするにしても、少なくともどちらか一方の技術に長けていないとウイングというポジションで輝くのは厳しいでしょう。海外で活躍しているウイングの選手を見れば納得するはずです。
キック精度
キック精度も求められる能力の1つとして挙げられます。クロスボールの質やカットインシュートの質、ラストパスの質など、ウイングの選手1つのキックで試合の流れが変わることはよくあります。例え、先ほどお伝えしたスピードとテクニックにどれだけ優れていたとしても、最後のキックの質が悪ければ得点には繋がりません。ですので、もちろんウイングの選手に限った話ではないですが、常に高精度のキックが求められるポジションと言っても過言ではないでしょう。
サッカーIQ(判断力と戦術理解)
サッカーIQと言うと難しく聞こえるかもしれませんが、要はしっかりと戦術を理解して判断できる選手ということです。最近のウイングは可変システムや偽9番などの役割を任せられることも多いので、チームとしての戦術を理解することが大切です。また、その役割がなかったとしても、前線からのプレスやビルドアップ時の動き方なども味方同士で共通意識を持つことがポイントとなってきます。その上で試合状況に合わせて臨機応変に対応できる判断力を持っている選手が活躍できるポジションでしょう。
ウイングの選手をご紹介
フィル・フォーデン
生年月日 | 2000年5月28日 |
国籍 | イングランド |
身長/体重 | 171cm/70kg |
利き足 | 左 |
所属チーム | マンチェスターシティ |
マンチェスターシティで圧巻の活躍を見せ続け、そしてイングランド代表の期待も背負う若きエースです。左足から繰り出される正確なキックはシュートにしてもパスにしても一級品です。世界のウイングランキングに常に名前が挙がる世界的プレイヤーです。
ブカヨ・サカ
生年月日 | 2001年9月5日 |
国籍 | イングランド |
身長/体重 | 178cm/65kg |
利き足 | 左 |
所属チーム | アーセナル |
こちらもフォーデン選手と同じくイングランド代表で、アーセナルのウイングとしてゴールアシスト共に素晴らしい結果を残しています。ドリブルやシュートだけでなく、味方の活かし方も非常に上手い選手です。
三笘薫
生年月日 | 1997年5月20日 |
国籍 | 日本 |
身長/体重 | 178cm/74kg |
利き足 | 右 |
所属チーム | ブライトン |
日本のサッカーファンであれば、知らない方はいないでしょう。日本代表期待の存在で、プレミアリーグでも世界屈指のディフェンダー達を抜き去ってきました。緩急をつけたスピード感のあるドリブルが特徴のウイングです。
まとめ
さて、今日はウイングとは何か?ウイングとはどういったポジションなのかについて解説してきました。時代の流れによる戦術の変化によって、ウイングを配置するチームは非常に多くなってきていますし、ウイングというポジションの重要性と必要性はますます高まっています。今日の記事を読んだ上で、どんな選手がいて、どんなプレーをしているのかに注目して見てみると面白いかもしれませんよ。
また、ウイングに限らずそれぞれのポジションにある役割や特徴などの知識が身に付ければ、サッカーがより楽しくなるでしょう。
では、また。