今回は少年サッカー、特に小学生サッカーの取り組み方についてご紹介していきます。

・これからサッカーをやり始めるのだけれど何をどうすればいいかよくわからない・・・
・もっとサッカーが上手くなりたいのだけど・・・

という保護者の方や指導者の方に向けてわかりやすく解説していきたいと思います。

小学生向けサッカー練習メニューで大切なこと・必要なこと

これからサッカーをする上で大切なこと

<好きこそものの上手なれ>

これが全てです。子供達がサッカーを好きになるよう接してください。好き・楽しいとなれば勝手にやります。自分で考えます。それが何より大事です。

また、チームメイトや指導者との関係性、相手選手や審判へのリスペクト、全面的にバックアップしてくれる保護者への感謝。こういったことも学んでいく成長過程です。

そして、子供達だけの世界観で物語が進んでいきますが、そこに保護者が入り込む余地は皆無です。保護者が入れ込みすぎて良い結果になることは稀ですので適度な距離感を意識して下さい。

これからサッカーをする上で絶対必要なもの

では実際にこれからサッカーを始める、これから練習を真剣に行っていきたいと考えていても必要なものが揃っていないと何もできません。そこで、ここでは最低限必要なものについて解説していきます。

ボール

サッカーボールにはサイズがあります。

「小学校年代では特別な指示がない限りは4号球を使用する」これを覚えてください。あとはお子さんの気に入ったボールを選んでOKです。

ボールは小学6年間で数回買い換えることがありますので、あまり高いものは避けた方がベターです。

シューズ

シューズに関しては、スパイクを購入すべきかトレーニングシューズを購入すべきか迷いどころですが、所属のスクールやチームにどちらを購入すべきか確認することが無難です。個人的には、公式戦などがあるのであれば普段からスパイクの使用に慣れておいた方がいいとは思います。

サイズは勿体無いからと少し大きめを買いがちですが、ピッタリジャストサイズを選んでください。使用頻度が高く履き潰す可能性が高いため、年間数回買い換えることになります。

小学生向けサッカー練習メニューの基礎知識

練習メニューといっても様々なジャンルがあります。

・技術系
・フィジカル系
・頭脳系

ここではわかりやすく3つに分類しましたが、どれか一つを選択してそれだけやっていたらOKではありません。これらを万遍なくトレーニングすることが大事です。

小学生年代で伸ばすべきジャンルはたった一つ、「センス」です。それは技術・フィジカル・頭脳など単体では伸びません。全てを掛け合わせながら、日々アップグレードされていきます。勉強で例えると算数だけ100点で他教科が10点よりも、全教科70点で算数だけ90点というイメージが良いかもしれません。

小学生向けサッカー練習メニューは何をすればいい?

お子さんがチームの練習から帰ってきたら「今日は何をしたの?何が楽しかった?」と尋ねて下さい。そうしてお子さん自身が「イメージを言語化する」習慣をつけて下さい。 サッカーというスポーツの特性上「頭脳は不可欠」です。間違っていても良いので「自分で考える習慣」を身につけて下さい。

小学生サッカーで絶対に身に着けるべきスキル

ではいよいよ、ここから本題に入っていきます。どんなスキルを身に着けるべきかを紹介した後に、具体的な練習メニューの解説へと入っていきます。

先程は「自分で考える習慣」と言いましたが、次は「考えたことを体現する」ためのスキルです。チームの練習が休日2〜3時間程度でスキルを身につけるのは中々至難の業です。

日々の積み重ねが大事になってきますが、ここでも大事なのは「自分で考える」ことと、「自分が好きなこと」です。

自分が好きなことであれば進んで取り組みます。そしてトレーニングの狙いを明確に伝えてあげることで自分で意識し考えます。これこそが「上達の近道」です。 下記にそれぞれ項目を挙げて解説していきます。

ドリブル

メッシ選手や三苫選手のように2人、3人と相手をかわして突き進む。カッコいいですよね。

しかしこういったカッコいい姿は日々の積み重ねです。 毎日少しでもボールを触ることが重要なので、こういった「1人でも取り組みやすい」トレーニングをチーム練習に取り入れても面白いですね。

パス

サッカーは「パス」を効率的かつ効果的に使うことが勝負を左右する重要な要素です。

パスを出した時・受けた時に30cmズレた、そのたった30cmで勝負が決まることもあります。 しかしパスは「受け手と出し手」が必要なため、1人でできるトレーニングは限られます。

シュート

「ゴールを決める」ことこそがサッカーの醍醐味であり、世界中のクラブの最終目的となります。極論ですが、サッカーの世界では、この最終目的のために何十億円という大金が飛び交うわけです。子供達は喜んでこのトレーニングに取り組みますが、1人のトレーニングには少し難があります。

ボールコントロール

これで勝負は8割決まるといっても過言ではないかもしれません。この技術の基準が高ければ、どんな局面でも優位に立てる可能性が高まります。

例えば、相手がギリギリ届かないところへボールを置く。些細なことかもしれませんが こういった「違い」が他プレーヤーとの違いを生み出します。

その他の身に着けた方がいいスキル

今回は小学生向けですので優先順位は下がりますが、以下の2つも必須のスキルとなります。

ヘディング

足以外で使用できるもう一つの武器です。子供達は放っておいてもヘディングごっこをしますのでそれだけでOKです。ポイントはアゴを軽くひき、目を瞑らず、おでこでボールの中心を捉えること。柔らかい布製ボールを使うのもいいかもしれません。

フィジカル

体の大きさやバランス感覚、ジャンプ力やスピードなどなど持って生まれたものに起因する部分が大部分を占めます。小学生年代で無理して筋トレや走り込みを行う必要はありませんが、どうしてもスピードを改善したい場合は「ラダー」、体のバランスを改善したい場合「バランスボール」をお勧めします。

それぞれのスキルを磨く練習メニュー

ではいよいよ本題の練習メニューについて解説していきます。

ドリブルの練習メニュー

できるだけ細かいステップとボールタッチが理想です。間接視野でボールを捉えられるように感覚を掴んで下さい。

ポイント

*姿勢:前屈みにならない。
*ボールタッチ:薬指から小指周辺の足の甲でボールを押す。
*軸足:蹴り足との適切な距離感。
*ボールの置き所:いつでもボールを自由に動かせる位置。

こういったところを意識しながら、リズミカルなステップでのドリブルを目指して下さい。

メニュー例

最初はセンターサークルに沿って運ぶ。次はセンターサークル内に障害物を置き、当たらないようにドリブルする。など徐々に慣れさせて下さい。

パスの練習メニュー

時間を決めて取り組んで下さい。子供達の集中力が持たないトレーニングです。

最初のうちは「蹴る」を意識させ、徐々に「止める」を意識して下さい。パスミスはOK。ただし適当に蹴らないこと。

ポイント

*蹴る直前まで相手を見る:ボールを見るのは「蹴る瞬間だけ」です。
*どこに蹴るか:「大体この辺」ではなく「相手選手の右足」など明確にして下さい。
*蹴る際は上体をそり返らせず、少し前屈みをイメージ。

*パスで最も使う「インサイドキック」のコツは以下の通りです。
軸足はつま先を蹴る方向にし、ボールの横に踏み出す。
②蹴り足の踵内側でボールを捉える。
③パスを出す相手に向かってボールを押し出すイメージ。

メニュー例

2人でキャッチボールをする感覚で初めて下さい。最初は短い距離で蹴ることに集中します。

徐々に距離を伸ばしていき、パスを受ける際もボールを置く位置に気をつけます。

さらに人数を増やす、動きの中でパス交換など難易度を上げていきます。

シュートの練習メニュー

ストレート、カーブ、ボレーなど様々な種類があります。それぞれ特徴があり使い分けられるようになることが重要ですが、今回はストレートのシュートで解説します。

最も強く、正確で、体重の乗ったキックは人それぞれです。自分にベストなキックを探して下さい。

ポイント

*ボールの真ん中を蹴る。
*足の甲、一番硬いところに当てる。
*軸足の置き所や向き、蹴り足の角度やタイミングで、強さやスピードは変わります。
*入らなくてもOKです。自分と相手、周りの状況を判断して強く打つが優先です。

メニュー例

最初はPKのように止まった状態から始めて下さい。ゴールがなければなんでも良いので、ゴールポストの代わりを設定して下さい。徐々に距離を長くする、流れの中からシュートなどハードルを上げていきましょう。

ボールコントロールの練習メニュー

リフティングが有効です。ワンバウンドで10回、利き足だけで5回など徐々にステップアップさせて下さい。ただしトレーニング時間は5分以内として下さい。それ以上は集中力が持ちません。

ポイント

*ボールの中心を蹴る。
*足だけでコントロールするのではなく、体のセンターラインでボールを捉える。
*自分の足とボールの距離感、足を出すタイミングを掴む。

メニュー例

ワンバウンドリフティング、利き足5回の内1回だけ逆足を使う、インサイドだけで5回など徐々にハードルを上げて下さい。単純トレーニングなので子供も大人も飽きます。トレーニングの合間に組み込むなど、なるべく刺激を失わないようにして下さい。

ポジション別に練習を行い、集中的にスキルアップ

低学年の間はポジションはあまり決めないと思います。しかし自分の得意な位置や形を持つことは再現性を高くできることに繋がりますし、再現性が高まれば高まるほど本人の自信に繋がります。

身に着けるべきスキルを絞って、それに集中して取り組むことが出来るのでポジション別に分けて練習を行うことも一つの手段かもしれませんね。

ゲーム(試合)を練習メニューの最後に取り入れる

ゲーム形式は最も重要なのでできるだけ時間をとって下さい。

トレーニングしたことを試すことが何より重要で、できるだけ多くのプレイヤーに「失敗」を経験させて下さい。そして失敗も成功もその場でゲームを止めて解説して下さい。実際に形であるゲームをしながらの方が子供達の上達も早いと思います。

練習メニュー作成時の流れやポイント

選手達のレベル差が大きければ大きいほど難しくなります。中央値になるようなトレーニングメニューを組み、レベル差で個人個人のハードルを設定するのが良いと思います。

どのように育てたいのか、どんなサッカーを目指すのかなど目標や理想像から逆算すると練習メニューが作成しやすいかもしれないですね。

コーチングのポイント

どんなトレーニングでも苛立ってコーチングすると子供達は思考停止します。その日全てのトレーニングが脳内リセットされてしまうこともあります。まずは「出来るようになれば丸儲け」くらいの気持ちで、そしてできるだけ座って子供目線でコーチングして下さい。

練習メニューを作成する効果

目的を明確にするという意味合いでもトレーニングメニュー作成は効果的です。今日は何をしたのか、そしてこの前はどんなトレーニングを行ったのかなどの振り返りにも繋がります。

特にトレーニング時間や達成率の配分を組み込んでおくことで、仕上げのゲーム時間を確保することに繋がるなど、メリットは多いと言えるでしょう。

小学生サッカーにおける最適な練習時間(短時間で効果的な練習)

週末2時間が理想的です。特に小学1、2年生は休憩時間や水分補給タイムを長めに設定し、

実質60分〜90分が良いと思います。それ以上は集中できていないことが多いです。

そして2時間の前提条件は「毎日30分程度トレーニングを行っている」ことです。

また、卒業直前数ヶ月の6年生は3〜4時間に伸ばしていいでしょう。できるだけ長時間トレーニングに耐え得るメンタルとマインドの強化が目的です。

小学生向け練習メニューの注意点

どんなトレーニングであっても「オーバートレーニング」にならないよう配慮して下さい。

必要以上の負荷は逆効果になるだけでなく、ケガに繋がります。

軽めのメニューであっても疲労は必ず蓄積しますので、休養日は必ず設けて下さい。

その他、メンタルトレーニングや体調管理も重要

小学生年代の子供達は、大人達のようにメンタルコントロールができません。

メンタルケアのポイントは「マイナス思考をプラスに転じさせる声かけ」です。非常に難しいですが大人達もチャレンジして下さい。

また、体調管理も必須です。食事・睡眠は当然ですが、ケガ予防にはストレッチが有効です。

できるだけ柔らかい体を目指して下さい。

成長とレベル向上の為のコツ

できるだけサッカー用語を用いてその都度意味を説明し、子供達がトレーニングメニューの意図を理解できるようにして下さい。元日本代表の本田圭佑選手は小学生時代から「この練習はどんな意味があるん?」とコーチに尋ねていたそうです。ポジティブにトレーニングを取り組むことで成長スピードは段違いになります。これはサッカーに限った話ではありません、

全員がサッカー選手になるわけではありませんが、全員が社会人になります。

その時に向けて「自分で考え、判断する力」を養うことは何より重要だと断言できます。

まとめ

現代サッカーでは「走れる・戦える・上手い・献身的・ユーティリティ性・賢さ」など求められることが多様化されています。今後も全てのカテゴリーでますます要求は高まっていくことでしょう。

特にハイプレスが主流となっている昨今、攻撃↔︎守備時の切り替え、いわゆるトランジション時の「インテンシティ」に関しては小学生年代から要求されてくると思われます。

今日の記事を簡単にまとめると、

・子供達がサッカーを好きになるよう接してください。好きこそ物の上手なれです。
「センス」を磨く。ドリブルもパスも攻撃も守備も「サッカー」です。
「自分で考える習慣」を身につけて下さい。自分を助けられるのは自分だけです。

この記事が皆様の参考になれば幸いです。全ての子供達の未来が輝かしいものになるよう心から応援しております。皆様もぜひ楽しい6年間をお過ごし下さい。

では、また。

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます